女性社会起業家
山口絵理子さん

〜裸でも生きるの著者〜
■山口さんを取り巻くバングラデシュの人々
山口さんを支えたのは、信じて付いてきてくれた工員たちとの絆もありました。そんなひとりに「ムンナ」さんというバングラデシュ人がいる。どんなときも彼女を励まし支え続けてきた、彼女が最も信頼を置く人物。「なぜ山口さんと一緒に働くのか?」こんな問いに「ムンナ」氏はこう語る。「彼女はお金のためじゃなく、この国を救うためにビジネスをしている。だから一緒に働くんだよ。」
型紙職人ローシャンさんは山口さんの工場で働く訳をこう語る。「私は社長のやり方や人への接し方を尊敬しています。お金のためでなく、社長が好きだからここで働いています。」と。
人が損得を抜きにして動かされたように思えました。確かに日本では信じられないようなトラブルに巻き込まれ、人に裏切りられもしました。しかし信じて着いてきた人もこの国の人でした。山口さんはこの国の人が悪いのではなく、諸悪の根源が別の場所にあることを知っていて、それを変えるために戦っているのだと思いました。
現地マネージャーのアティフさんはこう説明する。
「これまで大勢の人々が開発の名の下にやって来て、お金や食料を援助してくれました。でも私が思うにそれには持続的な効果はありません。なぜなら人々に無償で何かを与えるのは彼らを“物乞い”にするのと同じだからです。エリコさんは全く違う哲学の持ち主です。彼女は「ビジネス」を通じてこの国を力づけようとしています。それこそが人々を救う唯一の持続的な道と私も信じています。もし仕事があればバングラデシュの人々は誇りを持って生きてゆけます。それが私が彼女と共に働く最大の理由です。」
「世の中を変えたい」そのためにバッグを選んだ、最初は。だからもっと会社を大きくして一流のブランドになりたい。ファッションには世界を動かしてゆくような、そんな力があると思う。と山口さんは強く語る。
そしてまたバッグ工場に新たに四人の工員さんが増えたそうです。若い女性の工員さん。山口さんは微笑んで「ああ、これなんだよなぁって思うんです。やりたかったことって。もちろんスケールはまだ全然ちっちゃいけれども。でも最初は4人だったんですよ。今8倍ですよ。30人。」